JCD 研修旅行 2023年 韓国 10/31・11/1・11/2・11/3

文/写真:水谷 弥生

■はじめに

長崎研修から約7 ヶ月振りの再会。成田でいつもの顔ぶれが集まると歓声をあげて喜んだ。「上着に防水スプレーをたっぷり掛けてきたよ。」とフミちゃん。長崎の長雨経験を活かして対策してくるなんて凄い。またこのメンバーで研修旅行に参加できるのが嬉しい。成田からソウルまであっという間の2 時間半。10 月末のソウルは黄色い葉を落とした並木道が美しく、日本より色濃い秋を感じました。

■建築を楽しむ ザハ・ハディドの建築

韓国の首都ソウルは新しい文化を切り拓こうとするパワーを感じる未来都市でもあります。有名なのはソウルのシンボルとなったザハ・ハディドデザインの『東大門デザインプラザ』で、写真で見より遥かに巨大で圧倒されます。流線型のデザインはアルミパネルを組み合わせて、パンチングで打ち抜かれた穴から彩光がとれるようになっています。夜はひときわ幻想的で、ひとつひとつの窓の灯りの中に人の暮らしがある様に見えました。未来都市マンションでしょうか。

■ロッテワールドタワー(設計:KPF)

ソウルにはロッテホテル、ロッテ百貨店、ロッテ免税店…などロッテの文字をあちこちで見かけます。「ロッテは在日韓国人の企業で日本でチューインガムで成功した後、韓国に進出したんだ」と星さんが教えてくれました。日本ロッテの10 倍以上は稼ぐ韓国人にとって馴染みのある企業です。ロッテワールドタワーは123 階建ての商業施設で、世界で6 番目に高い超高層ビル。デザインのコンセプトは、韓国の伝統芸術に特徴的な曲線美からインスピレーションを受けたものらしい。「ピンセットの先にしか見えないね」、「このピンセットじゃムダ毛が取りずらいね」、「グッズ作ったら売れそうだねー」と皆んな勝手なことを言って喜んだ。

■韓国の名門大学

未来像をつくる試みは最大難関大学のひとつ『梨花女子大学』(設計:ドミニク・ペロー)でも見る事ができます。今まで女性が少なかった分野にも積極的に進出していて、女性の世界のリーダーシップ教育を行っています。キャンパスにもその未来性を感じるデザインが見られました。メンバーもアメリカのデザイン学校や会計学を学ぶために留学経験があり、JCD 女子もグローバルで驚きました。

■古い家を訪れる

ソウルには歴史や文化を感じる建物や場所が沢山あります。皆んなと合流する前にちょっと早起きしてレンタル自転車で『北村韓屋村』へ向かいました。ここは大好きな韓国ドラマ『宮廷女官 チャングムの誓い』に出てくる高級官僚たちの住居だったエリア。伝統家屋の集落がそのまま残されている韓屋(はんおく)は、エクステリアの意匠がかわいい!韓屋の門構え、鬼瓦と外壁パターン、典型的な細い坂道、リノベーションしたカフェ、工房、器や陶器、装飾用の組紐、刺繍、伝統的な家具…。当時の両班(やんばん)の生活振りを目の当たりにしました。ああ、また行きたい。

■びっくりした釜山 海雲台アイパーク(設計: ダニエル・リベスキンド)

ソウルから釜山まで韓国高速鉄道で約2 時間半。福岡に住むみゆきちゃんは、JR の高速船で旦那さんの玄くんと釜山まで来た事があると話してくれました。釜山駅から目的地へ車で移動すると海の向こう側に立ち並ぶ超高層ビル群に絶句!「この数年で高層ビルやマンションがどんどん建っているよ」とガイドさんが教えてくれた。釜山は田舎町だと思っていたので派手な光景にびっくり!中でも一際目立つビルが『海雲台アイパーク』だ。ヨットの帆みたいなデザインで、空に向かってそびえ立って並んでいる超高層コンドミニアム。パークハイアットホテルと併設されている。ガイドさんの話だと、72 階建、2977m 、631 世帯、一部屋200 平米以上あるそうだ。3 年前に台風で津波が来て2 階まで浸水して、地下に置いてある高級車が浸水して大変だったらしい。「どんな富裕層が住んでいるんだろう」と心の中で呟いた。ビルを見上げながら「高層階は忘れ物したら大変!」、「停電したらエレベーターが停まるから大変!」、「水を買って上がるのも大変!」と皆んなでマイナスな事ばかりを言ってモヤモヤした気持ちをスッキリさせた。

■甘川文化村

カラフルな家が斜面に連なる観光名所『甘川文化村』は「見捨てられた町と呼ばれていた」と女性ガイドさんが話してくれた。戦争で逃げて来た人たちが山を削り家を建て出来た村で、政府は何もしてくれないので、2009 年に住人が家をカラフルに塗って町づくりをし、観光地として成功したエリアだそうです。写真映えスポットが多数あって若い人たちが沢山来ていました。「そんな悲しい物語りがあったとは思えない程、賑やかな町に生まれ変わっています。

■仁川(いんちょん) The imprint ( 設計:MVRDV)

仁川空港のすぐ側にあるアートエンターテインメント複合施設「The Imprint」へ行った。下からカーテンを持ち上げたかのようなエントランスのデザインが目を惹く。明穂ちゃんは「人の目みたい!」と建築女子らしい事を言った。さすがの感性、視点が違う。明穂ちゃんのひとことで人の目以外にはもう見えなくなった。

■おいしくて、おいしくて

韓国に行ったら美味しいものをいっぱい食べたい!ツアーガイドの『ケンタさん』が最初に連れて行ってくれたのは焼き肉『チャドルバギ』が食べられるお店。チャドルバギとは牛バラの霜降り肉を薄くスライスしたもの。テーブルに次から次へとどんどん運ばれて来た。楽しみにしていた機内食が出ずにランチを食べ損ねた私たちは、皆んなお腹が空き過ぎて、ガツガツと無言で食べていました!

■カジノ

ここには外国人専用カジノもある。照明、デジタル映像、オブジェ、アート、音響、とにかくド派手で豪華!エントランスに入るとヒロリンが「この香水の匂いダメ!」と手で鼻を覆った。ちょっときつい香水の匂いは演出の一つなのだけど、日本人の好みではない。「少し遊んでくる」と星さんがカウンターに向かった。初めての人が安心して遊べる様に、無料の会員カードをつくると4,000 円分くらいのカジノコインが貰えるそうだ。そろそろ帰りの空港に向かう時間になると星さんが戻って来たが、勝っても負けてもなさそうだったので、カジノの話の詳細は誰も聞こうとしなかった。

韓国おでん、サムギョプサル、キンパ、お粥、屋台フードなど韓国料理を食べ尽くす毎日だった。メイン以外に小皿が沢山でてきてどれもこれも美味しい。念願のカンジャンケジャンは、肉厚なカニをガツガツ食べて、その他に焼き魚、卵焼き、ほうれん草、キムチ、ポテトサラダ、赤米ご飯が出た。もちもちした赤米ご飯が美味しすぎて私とみゆきちゃんは何回もお代わりした。食べて飲んで2,500円ぐらいだから驚く!どこのお店に入っても美味しいし気をつけないと2キロは増える。でも食べておきたい。帰国して体重計に乗るとまさかの2キロ減!そして肌の調子もいい。体に優しい韓国料理。現地の人とも楽しむ韓国料理。ああ、何度でも行きたい。

■最後に

韓国は思いのほか近代建築が多く、自国のアーティスト(美術、建築、音楽)を育てると言う目的が基本にありながら、世界一流の建築家によって『見せる都市』としての勢いを感じました。ガイドのケンタさんと友人のガイドさんは韓国の経済、建築、住宅、教育の事、なんでもよく知っている。「子供がいる家族なら皆んなソウルに住みたいと思っている。仁川とソウルでは勉強する事が全然違うしレベルが違う。田舎とソウルは全然違う。」など、移動の車内で印象に残る話しを沢山してくれました。旅はハプニングがつきもの。楽しい事も大変だった事もありましたが、無事帰国する事が出来ました。ツアーを組んでくれた明穂ちゃん、倫香さん、皆さま、ありがとうございました。大変お世話になりました!また次もよろしくお願いします。

[スケジュール]

1日目:

東大門デザインセンター、ロッテ百貨店本店、宗廟

2日目:

ミメーシスアートミュージアム、ソウル大学美術館、ロッテワールドタワー、リウム美術館、梨花女子大学

3日目:

釜山現代美術館、甘川文化村、映画の殿堂、BIFF広場、文化共感水晶、海雲台アイパーク

4日目:

Tri-Bowl、The Imprint

 

[メンバー]

石鍋 紗英、石橋 美幸、木之内 憲子、木村 倫香、香野 明穂、佐々木 みゆき、佐藤 しげる、戸矢崎 弘美、星 明臣、水谷 晶人、水谷 弥生、山岸 布実 ※五十音順

文:水谷 弥生

詳しい研修レポートはこちら

https://x.gd/lF1DG

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